経済金融研究所

日本の伝統精神を経済経営に生かす

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感謝

通常の経済学や経営学の教科書では「感謝」という言葉を目にすることは少ないと思います。出版に携わったかたがたへの感謝の辞くらいかもしれません。

しかし多くの成功した経営者、特にオーナー企業の経営者の方々の口からは感謝という言葉が多く聞かれるような気がいたします。どうしてでしょう。

経済学はできるだけ人間的な要素を排除しようと考えているようです。これは自然科学も同じでしょう。実験の結果は再現性がなくては困ります。だれがやっても同じ結論になる部分こそ科学の名に値すると考えることは妥当だとも思います。

私も採用試験こそ法律職でしたが、大蔵省の研修でマクロミクロの経済学や財政・金融・統計・会計などを学びました。しかし、現実の経済や経営を見てくるとこれらの学問は非常に有用であることはわかるのですが、それ以外に重要な要素というものもあると思うのです。

本当の問題を解決したり、本当の問題の所在を知るためには、問題についての自分なりの見方(それが証明しうるか否かは別として)それを提示することは大切です。いわゆる仮説というものです。

感謝という心の働きは、当然分析が簡単なものではありません。しかし、人間が何らかの行動を起こすときには一番大切なのは心の持ち方だと思うのです。いくら資本があっても不適切な投資によって損害を被った例はバブル崩壊後、金融行政に携わって見聞きしましたし、資金や信用などを熱意で補う企業家というものも見てきました。(もちろん熱意が資金や信用を引きつけてくるのでくるのであり、大きな事業を行うには資金、人材、信用などは不可欠です。一時的な熱気ではそれは集まるのは不可能だと思います。)

無論、事業の始めには収益というものが大事であり、これを忘れては企業は成り立ちません。いかに社会的にすばらしい事業であってもそれを継続していくためには何らかの資金的な裏づけが必要となります。

しかし、事業がより大きくなると、それでは限界に到達します。そこで必要となるのがもっと大きな視点であり、自分の事業が世間の人々に支えられているという「感謝」の念とそれに対するお返しとしてお客様や世のため人のために尽くすという「意欲―おかげさまの気持ち」が必要になってくるように思います。

 考えてみれば感謝の念というものを欠くと、慢心というものが頭をもたげてきます。経営やその他のことで成功する人は能力の高い人であり、ご自身の潜在的な能力や運に恵まれただけでなく、多大な努力を払われたはずです。しかしここが落とし穴です。自分ひとりですべてのことができたわけではないのです。それがすべて自分の能力と努力と思うところに落とし穴が開いているのです。

古来日本人はおかげさまということを大切にしてきました。さまざまな人々のおかげによって自分が生活できているということです。神道では春に今年の豊作を祈り、秋に今年の収穫に感謝します。神社でご祈祷をお願いする場合にも、すばらしい神様を褒め称え感謝してからお願いいたしますが、これも自分個人だけではなく多くの人々に役立つことを願うことが多いと思います。

仏教でも心の問題は重要なものとして扱われてきました。

原始仏典であるスッタニパータでは

「ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくりだされる。もしも汚れた心で話したり、行ったりするならば、苦しみはその人につき従うー車を引く牛の足跡に車輪がついてくるように。

 ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくりだされる。もしも清らか心で話したり、行ったりするならば、福楽はその人につき従うー影がそのからだから離れないように。」と書かれています。

感謝の心というのが、福楽の道に繋がると解されていたのではないでしょうか。

いかにすばらしいものや役務を提供したとしても、それを求めてくださる人がいなくては経営は成り立ちません。ましていわんや、お客様が見た目にはわからないからといって品質の低いものや、賞味期限の切れたものを提供すればその心は穢れたものになっていると思います。

短期的には収益を改善するかもしれませんが、そのような経営判断を下す経営者は自分の短期的な収益だけに目が向かい、今まで支持してくださったお客様への感謝の念を忘れ、

徐々に判断が狂ってくるのではないでしょうか。

もちろん、全く誤りを犯さない経営者はいません。しかし、誤りを誤りであると知りながら行う場合と、知らずして行う誤りとは非常に異なります。後者は注意力を磨くことや、専門知識を蓄えることなどで修正は可能ですが、前者で誤りを正すことは困難です。

感謝の念を持てば、自分に対して親切にしてくださった方、お客様に限らず、従業員、関連の業者の方々、家族、両親、関係の団体、公務員、国、あるいは世界・宇宙までに対して、自分のできる範囲でお返ししていこうという意欲がわきます。

私もこの文章を読んでくださるあなたに感謝いたしますが、この冊子を配達してくださった方、この文書の印刷製本をされた方、この文書の編集をされた方にも感謝しなくてはなりません。この文章を載せてくださるように決定してくださった方にも感謝しなくてはなりません。パソコンでこの文書を打っていますが、このパソコンを作ってくれた方、そしてこの電源を維持してくださっている方、このような文章が書けるだけの能力を授けてくださった先生がた、また私を育ててくださった両親・・・(思った以上に感謝すべき対象が広がってしまいました。)

このような考え方こそが、実は事業の発展の基礎になると思うのです。ご自身に照らして考えられてもいかがでしょうか。自分からいかに利益を吸い上げようと考えている人と、第一に自分のことを考えてくれている人とどちらとお付き合いしたいでしょうか。

もちろん営利事業であれば、そこから収益を上げなくてはいけませんが、一番大切なのは物事に感謝しそれにふさわしい良いことを世間にお返ししていくことではないかと思います。

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