経済金融研究所

日本の伝統精神を経済経営に生かす

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運命 

運命というのも経済学では使わない用語でしょう。運命というのは宿命と誤解されやすいのですが、何か人間として避けることができない縛りのように理解する人があります。しかし運命は「命」を「運」ぶものであり固定的なものではありません。易を学ぶとそこの部分が実感できると思います。

一方、経済学を中心とした人間像は、伝統的には「合理的経済人」です。他に比して同じならばより利益が上がるほうを選好することになっています。そこには人間の完全な自由が想定されています。

 しかし、われわれの周囲を見渡しただけでも生まれながらの違いというのは否定できません。

 一方人間の生き方が、全く宿命に縛られていると考えるのは妥当ではありません。以前の師友会の研修で「陰隲録」が課題図書として用いられました。

官吏になることを予言された袁了凡が、試験の合格などその予言がことごとく的中していくのを見て、人間の運命は決まっているものだ、宿命なのだと思い込んでいました。しかし、南京で雲谷禅師に出会い、人間の運命は自分の考えたとおりになるものだということを孟子や仏典を基に説かれます。そして善根を積み上げ、学問を積んでいくと、予言よりだんだん良い方向に狂ってきました。

ここでいえることは、人間というのは何らかの運命における方向性というのはあるのではないかということです。一方、人間はそれに翻弄されることなく、生きていくことが人間の生き方として正しいように思います。

 多くの伝統的な企業というのは、時代を超え生きてきたわけです。必然的に歴史の変わり目には多くの試練が待ち受けてきました。いまや多くの人が洋服を着て、電気をつけ、タクシーに乗っていますが、呉服屋さん、ろうそくやさんは生き残っていますし、駕籠屋さんは形を変えています。明治時代日本の主要産業であった絹織物はすでに主要産業としての役割を終え伝統産業となっていますが、絹織物を作る技術である機械の知識・人材が後の自動車やIT産業を生み出す淵源になっています。

 運命に逆らうことはできませんが、運命を生かしていくことは大いに可能です。

 時代の変化をとめることはできないと思いますし、その変化をむしろ捉えていくことが鍵だと思います。一方、自分の本質を忘れ時代の変化に流されていけないのも事実です。

変化する時代に自分が生存しているということは、自分が何らかの形で生きていくべきであるという宇宙の意思であるという気がいたします。そこにはかけがえのない人々がいます。かけがえのない仕事があります。どんな会社のどんな役職でもその人なりの仕事のやり方があります。大きな企業でしたならば自分がいる間に、会社がより良く運営されるように仕事をすることで運命にのることができます。逆に自分のときだけとりあえず問題を先送りしたり、空約束をすることは究極的には運命を悪くするのではないでしょうか。

一方経営者や自営の方などは自分なりの判断を、つねにお客様との対話によって確認していく必要があります。これはお客様に媚びるということではありません。お客様のためにならない商品は売ってはならないならないと思いますし、お客様の代わりなりもっとすばらしいものをご提案申し上げるのが企業家の役割でしょう。

大音楽家のバッハはまだ、楽器、演奏法が発展する段階での作曲家でしたが、その条件のもとで後世にのこる数々の名曲を作り、そのうちの多くが現代の作曲家がもたらしえないような感動を与えてくれています。バッハは自身に課せられた制約が自分を縛るものと考えていたのではなく、自分が活躍するすばらしい場と考えていたに相違ありません。

飛行機というのも同じで、風の抵抗がある程度ないと飛ぶことができません。一見自分の行動を妨害するようなものが、多くの新しい発見をもたらします。現在困難な状況というのは、多くの跳躍の機会ともいえます。人間は残念ながら(あるいは幸せなことに)懲らしめられなければ分からない部分があるようです。

運命というのは、避けえないものかもしれませんが、それに感謝と知恵を持って接すれば必ず解決策が見つかるような気がいたします。そのとき人間は立命できるのです。

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